今日の一冊 『水中で口笛』


発売を楽しみにしていた、工藤玲音さんの歌集。

せっかくだから本屋さんで手に取って買おうと思っていた矢先、緊急事態宣言が出てしまった。

閉店していない近くの本屋さんをのぞいてみるも、空振りばかり。

気づけば1か月が経っている。

聞くところによると、東京界隈の本屋さんには山積みされているとか。

羨ましすぎる…本当はその山から買いたいのだけど、我慢しきれずついにネットで購入した。


そんな工藤玲音さんを初めて知ったのは、エッセイだった。

ポップな表紙と丸っこい題名に引かれて読み始めたエッセイは、見過ごしてしまうくらい何気ない日常の、愛おしい瞬間で満ちていた。

説明してしまえばなんてことない。

けれどそこにある言葉は、時にやさしく不器用で、繊細で傷つきやすくて、あたたかかった。

難しい言葉は使っていないのに、まるで知らない言葉のようだった。


ようやく手元にやってきた歌集を開く。

短い言葉でつかまえた世界は、写真よりも映像よりもリアルで、彼女の見ている世界をのぞいているみたい。

短歌の良し悪しはわからないけれど、私は彼女の言葉が好きなのだと思う。


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